「駐在妻(もしくは駐妻)」とは、海外邦人駐在員の帯同家族である配偶者の通称です。21世紀の初めまで、「海外駐在」というのは外務省や商社、大企業…といった限られた人たちのものでした。それゆえ、今も当時のまま「駐在妻は豊富な海外手当をもらって、優雅に暮らす、専業主婦」というステレオタイプが残っています。
しかし近年、駐在妻を取り巻く状況は大きく変化しています。日本企業のグローバル化が進み、中小企業やベンチャー企業も海外駐在員を派遣するようになり、手厚い待遇を受けている帯同家族ばかりではなくなりました。
そして女性の社会進出により、女性が自らのキャリアを構築していくことが当たり前の時代になって来たこと、終身雇用制度の崩壊により経済的にも共働きが必須になって来たこと…といった社会の変化に対し、企業の制度は決して十分な対応を出来ていません。
現在の「駐在妻」の中には、もちろんこれまで通りに本帰国後も専業主婦としての生活を望んでいる方もおられます。
しかし一方で、配偶者の海外駐在への帯同のために、自身の仕事・キャリアをやむを得ず中断して来たため、アイデンティティの喪失に苦しんでいる女性、現地にてビザの都合等で就労できず、いつ海外駐在が終わるのか先の見通しの立たない中、地域によっては自由な行動が制限されていたり、狭い日本人社会で気を遣う生活の中、精神的に追い詰められている女性がいます。
このような逆境にあっても、決してキャリアを構築を諦めず、現地での就労を目指したり、たとえビザの都合で有償で仕事ができなくても、ボランティア活動に勤しんだり、リモートワークに携わる等、出来る限りの努力を重ねている女性も存在します。
今のあなたは配偶者の海外駐在の帯同が予定される「プレ駐在妻」でしょうか、それとも今まさに「駐在妻」、帰国後の「元駐在妻」の方でしょうか。
いずれにしても、あなたは配偶者の海外駐在への帯同という勇気ある決断をされ、今決して自らが選んだのではない場所で、自由にならない生活を送らざるを得ない状況かも知れません。
しかしながら、人生において決して無駄になる経験はありません。今の「専業主婦・子育て・海外生活」等、あらゆる経験がご自身の「ライフキャリア」の一環となります。今の駐在生活を精一杯、有意義に過ごすことで、帰国後の次のキャリアに活かすことが出来るのです。
今、「置かれた場所で、咲く」ことについて、一緒に考えてみませんか。
貴社の海外駐在員はもちろんですが、帯同家族にも、渡航前研修や、渡航後のフォローアップはされていますか?帯同家族の現地での就労や生活に関しては、どのような制度がありますか。海外駐在員が心身ともに健康で、現地でのパフォーマンスを上げるには、本人だけではなく、帯同家族の心身の健康が求められています。
もしくは、貴社には家族の海外駐在のため、退職を余儀なくされている女性はいませんか?
今、配偶者転勤の際、利用できる休職制度が求められています。海外でのサバイバル体験・異文化体験や、狭い日本人社会の中を生き抜いて来た経験を身に付けた女性は、その後大きな人間的成長を遂げ、将来貴社に大きく貢献する可能性を秘めています。
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